遅咲きのヒマワリ(6) 僕ら地域おこし協力隊


 第6話。相変わらず「地域おこし」とは縁遠い話が続くが、ちょっと気になるセリフがあった。
 それは森下彩花が松本弘樹と同棲していることを知った丈太郎が、無理にハイになりながら「なぜ僕(丈太郎)は3年間給料をもらってこの土地にいられるのに、ずーとこの土地で生き続けてきた順一が出ていかなければいけないんだ」とうセリフ。順一のお店の一番大きな取引先が倒産したため、順一の父が「自分の代で店を閉める」と言い出していたのを知っての言葉だ。


 地域おこし協力隊は都会から人材を地方に移住・定住してもらうことを狙いとした制度だから、元々その地域に居住している人は応募できない。ドラマでは地元青年の順一は、地域おこし協力隊をボランティアで応援しているという設定だが、同じことをしているのに都会からひょいとやってきた人には報酬が出て、片っ方は無給というのは、なにかおかしいんじゃないかと思う人もいるだろう。

 これは真面目に考えると難しい。集落支援とかのスキルを持っている人なら、別に集落支援員という制度があり、同様の報酬を受けることができる。だからボランティア経験が長い順一ならあり得る選択かもしれないが、単に親の店がしまってしまったからという普通の人では無理だろう。

 それはおかしいと言えばおかしいが、そちらは失業対策としてきちんとやるべきことではないかと思う。今、農業とか、小売業とか、グローバル化や近代化のなかで、競争力を失い、かつてのような雇用力を失っている産業が多い。安く買えるようになって良かったね、ではすまない負の側面が拡大している。だいち、みんなが失業してしまったら、商品を買ってくれる人がいなくなってしまう。

 一方、地域おこし協力隊はというと、やっぱり「よそもの」としてやってきて地域に刺激を与えつつ、自らも起業・定着してもらおうという人材移転の政策として別途成否を考えるべきだろう。もちろん彼らが起業し、さらに雇用を生み出せば、文句なし!。

 なお実際の地域おこし協力隊は、都会でプーになってしまった丈太郎のような人が、他に何気なく応募して通るほど甘くはない。倍率も結構高い場合が多いそうだ。
 ドラマを見ている人が、地域おこし協力隊に興味を持ってくれたら嬉しいが、実際の協力隊の仕事を知らずに、「あんな仕事に税金を使って」みたいな印象を持たれては困る。
 だいち、いくら恋愛ドラマでも、選んだ仕事にもそれなりの決着は付けて欲しい。

(おわり)

 追:
 『僕ら地域おこし協力隊』、とうとう出来上がった。これから取次へ搬入し、部数交渉に決着をつけ、12月10日ごろまでには書店に並ぶ。また若いスタッフが本書のエッセンスを抜き出し地域おこし協力隊のファーストガイドとなるフライヤーもつくった。こちらは無料でダウンロードできるし、主要書店には配布の協力をお願いしているところ。置いてくれるお店が増えて欲しい。

○リンク
『僕ら地域おこし協力隊』
http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/book/ISBN978-4-7615-1316-0.htm