季刊まちづくり32号「復興まちづくり特集号」

 9月1日発売の『季刊まちづくり32号』を読んだ。
 今回は全ページ「東日本大震災対応特集号」となっている。


 その大部分を占めるのは佐藤滋さんのグループを中心とした特集「復興まちづくりシナリオの提案─市民事業の展開に向けて」だ。

なぜ、市民事業か

 なぜ、市民事業が出てくるのか?
 そんなチマチマした話で、これほどの大規模災害からの復興ができるのだろうか、と疑問に思う人も多いだろう。


 佐藤さん自身も、3.11の直後は「『まちづくり市民事業』なんて的はずれな本を出してしまった」「これは国家の権力を背景に動かすしかない」と思われたそうだ(『[東日本大震災・原発事故]復興まちづくりに向けて』佐藤滋さんのインタビューなど)。


 しかし日が経つにつれて、今回の復旧・復興は「地域主体のまちづくりの積み上げのうえにこそ、達成されるのだ」と思われたという。


 それは、どういうことか。


 佐藤さんは「公共事業型の復興事業が過大となることを抑え、地区まちづくりに重点を置きながら、生活と生業・産業の復興を図るシナリオを、市民に開示し共有しながら進める」ことが基本だという。


 高度成長の頃までであれば、インフラさえ整備すれば、あとは有り余る成長力がその器を満たしていった。
 だが、今回はそうはいかない。様々な主体の再生の力が一筋の流れに集まるような復興のあり方が求められている。
 その具体的な方法論が様ざまに検討されているのが本特集だと思う。


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季刊 まちづくり 32