蓑原敬編著『都市計画 根底から見なおし新たな挑戦へ』〜連続セミナー第1弾


 『都市計画根底から見なおし新たな挑戦へ』は近代都市計画を脱構築し、閉塞を打破しようという本だ。


 だが、残念ながら改革は天から降ってきそうにはない。
 政権交代前に都市計画法の改正を準備していた国交省の石井喜三郎氏へのインタビューをした八甫谷氏が「これは大改革だ!」と興奮していた(季刊まちづくり25号「都市計画法改正の検討課題」)。実現には大きな壁がありそうだったが、大きくは民主党の政策INDEX2009でうたわれていた方向と一致しており、『地域主権で始まる本当の都市計画・まちづくり』を書いて頂いていた2009年の秋には、政権交代で桎梏が打ち破られるのではないかとの期待もあった。
 しかし、民主党自民党政権下での議論はご和算という感じで、今は仕切り直しで宙ぶらりんになっているという。


 だが、蓑原氏が京都セミナーで強調していたように、地方分権一括法によって「法律的な構造では、国際水準のまともな都市計画とか住宅政策が」自治体がやる気になればできる構造になっているし、そういった努力を積み重ねてぶつけていけば、「政策構造についての意志決定機構が液状化してしまって」いて、中央省庁が乗らざるを得ない可能性も大きい。


 かつて自治体が始めた要綱行政や協定行政がまちづくりの可能性を大きく広げたように、これからの自治体の取り組みが都市のあり方を大きく変えていく可能性はあるというわけだ。


 だから、本を出して終わりではなく、運動として、キャンペーンを続けようということになり、まずは、連続的なセミナーを開くことになった。


 その第一弾は3月10日だ。大方潤一郎さんを中心として、蓑原敬さん、そして自治体行政経験が豊富な松本昭さんに参加いただいて開く「激論・都市計画 No.1 まちづくり条例による国際標準の計画制度」を行う。


 これは単にお話しを聞いて最後に質疑応答をして終わりと言った形ではなく、理論とまちづくりの現場をつなぐ激論にしたいと思っている。
 加えて、その記録をスマートフォンやPCで読める安価な「まちづくり新書(電子版)」という形で広め、少しでも議論を深め、実践に役立てていただきたい。


 志のある方は是非、参加ください。

セミナー概要


『都市計画 根底から見なおし新たな挑戦へ』
 まちづくり条例による国際標準の計画制度
 激論・都市計画 No.1
 大方潤一郎 氏/蓑原敬 氏/松本昭 氏


趣旨
 成長時代の近代都市計画が機能不全に陥っている。いよいよ抜本的に組かなければならない、脱構築しなければならないことは明らかだ。
 このほど出版した『都市計画 根底から見なおし新たな挑戦へ』では、いまや日本の都市計画やかまちづくりの最大の権威になった人たちが、全体のビジョンを捕まえて、次に何をすべきかを明確に示している。
 しかし、改革は上から降ってはこない。かつて1970年代に自治体が要綱行政、協定行政を通してまちづくりの領域を大きく広げたように、地域、地方の現場から波を起こし、変えて行かなければならない。
 そのためには、都市計画やまちづくりの現場、とりわけ行政現場の現実と、ビジョンや理念からの議論をどのように噛み合わせ、具体化していくのかが問われている。
 そこで本セミナーでは、地方分権一括法で現実のものとなっている条例制定権をフルに活用し、自治体条例によって都市計画を大きく変えていこうと提案されている大方潤一郎氏を迎え、今、できることは何かを議論したい。
 奮って、ご参加ください。

11年3月10日(木曜日)18時半開場、18時45分〜21時頃まで
場所:東京大学本郷キャンパス)工学部14号館1階 141教室

詳細&申込み
2011.03.10連続セミナー第1回


続く