京都市の昨年度観光客数4700万人

5000万人を割り込み、1人当たり消費額も増えず

 京都市が7月20日に発表したところによると、このところ増え続けていた観光客は、2008年の5021万人から、2009年は4690万人程度に落ち込んだそうだ。


 10年前にぶちあげた5000万人構想を早期に達成したので、これからは「量より質だ」と言い出したところで、世界不況と新型インフルエンザに見舞われて、大台割れをしてしまった。
 月別グラフを見ると、確かに新型インフルエンザが大騒ぎだった5月、6月に大幅に減っているが、全体的に微減傾向にある。それが不況のせいだけと言い切れるのかどうか。


 また観光消費も7.2%減少の6088億円。1人当たりも0.7%減って12982円。
 彼らの言う「量から質へ」は、消費額のことのようなので、厳しい門出と言える。
 外国人観光客も15万人減って78万人。話題の中国からの観光客は相変わらず伸びず、全体の5.9%。北アメリカが35%、ヨーロッパが32%と、欧米に偏っている。


 ただし、今年に入ってから、宿泊稼働率など2008年並みに戻りつつあり、力強い回復基調にあるのだそうだ。

京都市の産業戦略と景観政策

 ところで、ある飲み会で京都の代表的なコンサルの所長のMさんが、京都市のとある審議会で、景観政策を評して「ようするに京都は、ビルを建ててもらって固定資産税で稼ぐという産業政策を捨てて、文化・観光で日銭を稼ぐという産業政策に転換した、ということだ」と言ったと話題になっていた。
 Iさんは、「それは正しい、そんなのはヨーロッパの都市では当たり前だ」と叫んでいた。


 欧米の自治体の税収構造は知らないが、日本の自治体の独自財源(市税)に占める固定資産税の割合は大きい。
 たとえば2008年の京都市の市税2600億のうち固定資産税は約1000億円。対して市民税と法人市民税は合わせて1250億円だ。


 これから、人口が減っていく以上、ほとんどのところで地価の相対的下落は避けられない。また堅牢な建物を建てたら、それが儲かろうが損をしようが固定資産税が上がるというのも、それで良いのだろうか。
 いつまでも固定資産税だよりの税収構造だと、都市政策をゆがめてしまいかねないと思う。


参考)
☆平成21年の京都市観光調査の結果について
http://raku.city.kyoto.jp/kanko_top/image/shiryo20100720.pdf

☆普通会計決算にみる京都市の財政の特徴
http://www.city.kyoto.lg.jp/gyozai/cmsfiles/contents/0000071/71611/20kesanfutukaikei.pdf