お盆休みの過ごし方、一押しは「怪談・幽女執念」
今年は金曜日から休もうと思っていたが、仕事がはからずに出社。
結局、土曜日から月曜までの3連休にしかできなかった。そのうえ、今年は日帰り旅行すら予定が立っていない。
そのかわり、この3連休は毎日、公演を見に行った。やっぱり、生だよ、生。
クレイジー・フォー・ユー
一日目は京都劇場・劇団四季の「クレイジー・フォー・ユー」。
全編ガーシュウィン・メロディーが散りばめられていると宣伝されているし、実際そうなのだろうが、聞いたことがある曲はテーマ曲だけだった。
主役のボビーの婚約者にして、ヒロインたるポリーの恋敵の女性、アイリーン・ロスが、オペラグラスで見ても「美人!」という感じで、歌もよかった。主役の2人は、顔も歌もあまり印象に残らない感じ。
だがタップダンスはこの2人を含めて良かった。特に群舞はとっても良かった。迫力もあるし、ぴたっと決まっているし、若さがはちきれそうで、元気が貰えるような感じ。
いつものように最上段から見たけど、奮発して1階でみたらもっとのめり込めただろう。
劇団みのむし「怪談・幽女執念(おそろしや おんなのしゅうねん)」
糸操り人形劇団みのむしが京都に移ってきて、人形劇をやるという。
といっても、そんな劇団があるなんて知らなかったし、人形劇も実は見たことがなかったのだが、ワイフが新聞でめざとく見つけてくれた。「今出川寺町上がる」なら近くだし、1000円なら安いじゃないかと衆議一決、予約の電話をワイフが入れた。
ところが、聞いてみると「今出川寺町上がる」なんて大嘘だった。信じて歩いて行っていたら、つくころにはへとへとだっただろう。
ついてみると、なんだか山小屋ふうの建物がある。
なんでも主宰の飯室康一さんの実家にアトリエをつくったということだ。写真はそのアトリエ。
入ると20畳ぐらいのスペースがあり、後ろ三分の一ぐらいを使って人形劇の舞台が設えてある。20人ほどのお客さんで、ほぼ埋まっているという感じだった。
で、どんな話かというと、とある街の町営のお化け屋敷で、四谷怪談のお岩さん、皿屋敷のお菊さん、そして牡丹灯籠のお露さんが派遣社員として働いている。ところが支配人は指定管理者の更新に勝ち抜けるかがとても心配。なにしろお客さんがニ、三人という不景気、不人気が続いているからだ。
そこで、お岩さんやお菊さんをリストラし、西洋式のホラーハウスにしようと考えている。・・・・伝統の継承を訴え、ホラーハウスに断固反対を呼びかけるお岩さん、なんとか生き残りたいお菊さん、先輩たちの追い出しをはかるお露さん。そしてお露さんを愛人にという支配人・・・・。
ストーリーはおもしろ馬鹿馬鹿しいが、人形の表現力は馬鹿にできない。
飯室康一さんは糸操り人形も、西洋式のマリオネットも操れるようだ。アトリエにも怪しげな人形がいくつも飾ってあった。なかには、ちょっとぞくっとするような美少女も。
これは儲けもの、また行ってみたい公演だった。
大文字能
「五山の送り火」の日には、金剛能楽堂が主催する「大文字送り火能〜蝋燭能〜」を見に行った。といっても本当の蝋燭だけではやってくれない。暗すぎるので、蝋燭の雰囲気を壊しにくい青白い照明が工夫されている。
今年の演目は「清経」。
「幽玄」を表す代表的な作品の一つだそうだが、それに囚われて見ないようにとプログラムには書いてあった。
写真はチラシだが、実際はもっと明るい。でもこのぐらい暗い方が恨みがましさがにじみ出てあっているように思う。
この清経は、平家の負け戦を悟って、早速と入水自殺をしてしまった人だ。
家臣が遺髪を京にいる妻のところに届けるが、妻は「戦死や病死ならともかく自殺するとは何事か」となじり、受け取った髪を返納してしまう。やがて夢で会えたらと願う妻の夢枕に、清経の霊が現れる。再会を喜ぶものの、妻は再会の約束を果たさなかった夫を責め、夫は遺髪を返納してしまった妻の薄情を恨み、互いを恨んでは涙する。
ここで丁々発止のやりとりになるのかと思ったら、あとは清経が、死を選ぶまでの経過や心境をかたり、一人で舞い、やがて勝手に成仏してしまう。
自由席だがワイフが開場前から並んでくれたので良い席だった。だが、ちょうど清経の妻が柱の陰になって見えなかった。
それもあって、まるで一人芝居を見ているようだった。
単調なうごきと単調な音楽が睡魔を呼びこむが、さすが最後の10分間には、空間全体が緊張感に包まれ、引き込まれてしまう一瞬がある。
ただ、やっぱり字幕が出ると良いなあ、といつも思う。
雰囲気を壊さないで字幕を出す方法はないものだろうか。
大文字
最後は大文字を眺めてお盆休みは終わり。
今年は火勢が弱かったように思えたが、気のせいだろうか。
追:新聞によると今年は周辺の樹木が乾燥しているので2割ほど薪を減らしたそうです。