ブライトンホテル、リレー音楽祭inアトリウム


 写真は7月1日から始まったブライトンホテルのリレー音楽祭2日目(564回目)の様子。
 京都市立芸術大学の寺島千紘さんと泉麻衣子さんがピアノ・ソロで、ショパンシューマンを披露。最後のブラームスハンガリー舞曲の連弾が楽しかった。
 3日はソプラノ歌手、田村麻子さん、伴奏がベルギン麻紀さんによる歌曲。2人ともプロだし、田村さんはさすがに声量がある。アトリウムに響き渡っていた。アンコールの宵待草やバッハ&グノーのアベマリアが良かった。
 このリレー音楽祭について都市環境デザイン会議関西ブロックフォーラム冊子に2007年に書いた文章を下記に再掲する。

1001回の連続開催を目指す

 15年前、恒例だった京都市交響楽団の大文字コンサートが予算不足で中止になったとき、61日間のリレー音楽祭が始まった。3年目からは約1カ月の開催となり、2007年7月31日、500回目を迎えた。
 出演料はナシ。会場は約25.3m×34m×高さ20mという巨大なブライトホテルのアトリウム。運営は当ホテルが担っている。


 実行委員会は、井上道義、工藤千博氏※ら5名、京都音楽家クラブ、京都府合唱連盟、京都市立芸術大学音楽学部、京都フランス音楽アカデミー、京都市交響楽団有志が協力してる。またロビーや回廊などから、無料で鑑賞できる。


 営業中のホテルのアトリウムであるため、音楽祭に関係のないお客さんも多い。また子ども連れで鑑賞に来る人も多く、ロビーバーも設置され、気軽な雰囲気だ。そのためコンサートホールのような静寂は期待できない。演奏がつまらないと、途中で帰ってしまう人もいるし、良いと立ち止まって聞く人が増えていく点が面白い。


 鑑賞ディナーや宿泊セットなども売られているが、果たしてどれだけ売り上げに貢献しているのか。ホテルの顔となるイベントとして取り組んでいるとのことだが、よく続くと感心する。


 最終日の中丸三千繪さんには1300人が集まったとのことだが、100人程度のときもあり、広い空間だけに少し寂しい感じがするときもある。


 たとえば2006年に3万人を集めた仙台クラシックフェスティバルは、地元交響楽団のメンバーと、中堅どころの音楽家を集め、安価に良質な音楽を提供し、ファンを増やそうとしている。対して本音楽祭は、現代音楽など不人気なジャンルや、若手音楽家の参加(それも若手好みの難曲)にも取り組んでいるのが特徴である※※。現代音楽の新作は正直楽しめないこともあるが、学生にとっては得がたい経験ではないだろうか。


 2007年も小学6年生の登坂理利子さんが素晴らしい演奏を披露した。8年前にはチャイコフスキーコンクールで優勝した神尾真由子さんも演奏してる※※※。登坂さんもひょっとすると将来、ビッグタイトルをとるかも、と考えると楽しい。




※  ;工藤千博は京都市交響楽団コンサートマスター。2009年10月9日逝去。
    小学生の音楽教育に取り組み自らを「バイオリンの小児科」と称したという(Wikipedia)。神尾真由子さんも門下。
※※ ;最近は難解な曲は避けているようだ。
※※※;神尾真由子さんは、チャイコフスキーコンクール優勝後、一昨年に再登壇した。