本の紹介
『小商いのすすめ』という本だから、小商いのことが書いある、小商いを始めようというときに励ましになるかと期待して買ったのだが、当てが外れた。 それはともかく、興味深かったのは「人間とは(大きな問題に大勢で取り組むと)自分が意思することとは、必…
去年だったか、どこかの大学の理工系学部にソーシャルデザイン学科かコースがあると聞いた時、「なんだそりゃ」と思ったものだ。それは「建築学分野、都市システム工学分野、エネルギー・環境工学分野」と分かれているという。苦労をしている大学人には悪い…
書かれていることは公共交通のことを勉強した人には周知のことも多いかもしれない。 だが著者の小嶋さんは和歌山電鐵をはじめ、多くの地方公共交通を再生してきた人だ。実践した来た人の言葉は重い。ひょっとしたら世の中よく出来るんじゃないかという気分に…
この本はランドスケープデザイン誌に2年間にわたり連載された「状況のつくり方」という連載をまとめたものだ。 「風景をデザインするとはどういうことなのだろうか」。ランドスケープデザイナーでありながら「デザインするも何も、風景は既にそこにあるじゃ…
著者の三島さんが主催するミシマ社は、西村佳哲さんの『いま、地方で生きるということ』や、平川克美さんの『小商いのすすめ』を出している出版社だ。 その創業から数年間のドタバタを書いた本だが、いまどき、こんなにエネルギッシュで、明るくて、能天気な…
半分都市計画に戻るってわけでもないが、計画の話を紹介しよう。 『銀河帝国の興亡』を、20年ぶりに読んだ。 これは究極の計画をテーマとした物語だ。 時は銀河歴1万年?。1千兆人もの人類を擁する銀河帝国が衰亡を迎えていた。このままでは宇宙は混乱と…
上橋菜穂子さんの『精霊の木』に続く作品。1991年に出版されている。 上橋さんを知ったのは会社の若いスタッフに「美少女剣士が好きだったら、ちょっと中年だけどバルサが良いよ」と教えてもらったのがきっかけだった。そして中年の女剣士バルサが活躍す…
嫁さんが「3ヶ月で12刷りになっている。どんな本だろう」と買ってきて、夜に読み出したら止まらずに、夜明けまで読んでしまったというので、読んでみた。 都会の片隅、首都高と国道246号が重なり合う街、世田谷通りに面した駅前から入った住宅街にあると…
公務員、もっと頑張れ!という本。 『「見せかけの勤勉」の正体』と主張が似ているなと思ったら、同じ著者だった。 仕事上の制約をなるべく減らし、成果があれば認められること、それも出来れば役所の外、市民に認められることがやる気の源泉だということ。…
2011年1月14日に書き上げられ、2月に受理された修士論文に若干の手を加えて6月に出版された本だ。 著者は東大で社会学を学び、吉見俊哉、上野千鶴子に学んだという。 帯には上野さんの「原発は戦後成長のアイコンだった。フクシマを生み出した欲望に…
10月9日に東京でシビックプライド会議というものがあって、誘われてその実況をユーストリームで見た。 シビックプライド シビックプライド会議は2008年に『シビックプライド』という本を出している。A5、224ページ、オールカラーで1900円+税という超お得な…
『ポストモータリゼーション』という本を編集いただいた北村隆一先生は、自家用車の非公共性をいつも厳しく指弾されていた。 普通、自動車の問題と言えば、二酸化炭素をまき散らしているとか、大気汚染、そして交通事故が津波よりも遥かに多くの人に死をもた…
『いま、地方で生きるということ』と比べると、硬派のメッセージを発してるのが『半農半X』だろう。 必ずしも「農」じゃなくても良いじゃないか、「半サラリーマン半芸術家」でも一緒じゃないかという向きもあるが、これはやはり「農」であることに意味があ…
いま話題になっている、売れているとのスタッフの薦めで読んでみた。 前半は今年5月、被災地をめぐって取ったボランティアの人たちや地元で頑張っている人たちへのへのインタビュー。そこで描かれた人たちは、生き生きとしている。実にしなやかで、強い。 …
『連鎖』『震源』『ホワイトアウト』など、テロリストやスパイ、国家官僚、政治家が暗躍するサスペンスが得意な真保裕一の作品。 帯には「驚愕の一夜」「名作『ホワイトアウト』を超える、緊張感あふれる大展開!」とあるけど、これは嘘だ。どうみても、サス…
自宅でパソコンの前に座ると暑くてぐったりしてしまうので、ブログを1ヶ月ほどさぼってしまった。 暑さがぶり返してきたら、また、退却だけど、とりあえず話題を一つ。 流行り物も読まなくては、というので、涼宮ハルヒシリーズを買って読んでみた。といっ…
著者は10年ほど前に亡くなられるまで反原発運動の中心にいた人。原子力資料情報室の設立にも参加されている。 その高木さんの絶筆となったこの本は、単に反原発というより、日本の技術、ひいては日本の社会の、「自己点検もなければ相互批判も乏しく」「議…
この本、帯には「私を、日本を諦めないために」とか「未曾有の出来事を乗り越えるためにできること」と書いてあるが、中身をみると、震災前にほぼ書き終えられていたもののようだ。 ただし「まえがき」や「あとがき」などは震災後に書かれている。 特に「あ…
昨年12月に出た岩波新書。羨ましい限りのグッド・タイミングの本だ。 もっとも勉強になったのは津波の観測が難しいということ。 今回、第一波が去った後、家に戻ってしまった人が多くなくなったという話がある。津波の状況がリアルタイムで把握できたら、…
3.11以降、いくつかの報告会を聞いたが、一番残念だったのは、津波予報を担当されている方のお話だった。 せっかく避難したのに、第一波が去った後に低地に戻って第二波に巻き込まれたしまった人がいたこと、第一波より、第二波、第三波のほうが強烈だっ…
フェースブックで知って、アマゾンで買った。 購入時に50位。売れている。 『戦艦武蔵』や『関東大震災』で名高い吉村昭が、明治、昭和、そしてチリの三度にわたる三陸津波を掘り起こしている。昭和45年(1970年)の作品だ。 明治、そして昭和の津波の記…
キンドルやアイパッドが発売されて、電子書籍が騒がれたのは2010年だが、この本は一足早く2009年にウエブメディアの立場から出された本だ。 最初に、「出版業界とは取り次ぎ制度依存業界に過ぎない」とくる。ガツンと一発って感じ。 それは、その通りだ。 そ…
近代主義礼賛 今日も原発事故のニュースが続く。 原発立地の是非をめぐる住民投票を中止した串間市の野辺市長は、投票について「安全性が確保できるまではやるべきでない」と説明したとのことだ(http://mainichi.jp/area/miyazaki/news/20110315ddlk4501048…
原発がせめて危機を脱することを祈りつつ、普通の話題に戻ろう。 山口誠『ニッポンの海外旅行〜若者と観光メディアの50年史』の紹介で出てきた小田実の『何でも見てやろう』を読んなおしてみた。 この本はのちにベ平連のリーダーとして有名になった小田実が…
松原隆一郎さんと言えば、僕たちの世界では『失われた景観』で知られた方だ。東京大学工学部都市工学科を卒業し、その後、経済学に転進された。 出版された2002年当時は、景観法の制定が視野に入りつつあったこともあり、話題になった。出版したPHPの謳い文…
歩く旅の終焉〜スケルトンツアー 歩く旅が終焉を迎えたころ、航空券とホテルがセットになった数日の旅行が、信じられないような安い値段で提供されるようになる。 ソウル三日間1万円とか、グアム四日間1.5万円といったスケルトンツアーと呼ばれるものだ。 …
冒険、探検から自分探しへ 『深夜特急』とバックパッカー第二世代 澤木耕太郎が香港からユーラシア大陸へ旅だったのは74年だった。 そのときの友人への手紙をもとに10年後に書かれたのが『深夜特急』だ。 山口によると澤木の実際の旅と、深夜特急に書かれた…
面白い文化誌を読んだので紹介しよう。 著者はメディアや文化を研究している社会学者。73年生まれなので、まだ40前の方だ。 「はじめに」では「なぜ最近の若者は海外旅行に行かなくなったのか」という問題を取り上げている。その見出しだけを見ると、観光…
ロハスってなんだ 大和田順子さんといえば、ロハスの紹介者として名高い。現在もロハス・ビジネス・アライアンスの共同代表でもある。 僕はロハスをちゃんと勉強したことはなかったし、マスコミ報道から受ける印象は良くなかった。 だから、アグリ・コミュニ…
アグリ・コミュニティビジネスから学ぶ日本の未来 この本から僕たちは何を学べば良いのだろうか。 もちろん、触発され開墾に向かう人がいても良いし、農林業を継ごうと考えていただいても良い。著者はまずはそういう人たちに読んで欲しいと「はじめに」に書…