まちづくり

京町家再生の拠点・斧屋オープニング

WMF資金で再生された町家再生の拠点 今日は京町ネットの活動拠点、斧屋のお披露目ということで、覗いてきた。 斧屋は釜座町の町家(ちょういえ)。 町家(ちょういえ)は町の集会所みたいなもので、普通は町内会が所有し、会合や地蔵盆などに使われている。 …

風景が人をつくりのか、人が風景をつくるのか

昨年末、12月25日の都市環境デザインセミナーは「イタリアの都市から学ぶ日本の都市へのメッセージ」だったが、そのなかで報告者である井口勝文さんが最後にこの問いを出された。 そして、「僕(井口)は風景が人をつくると断言する」と言われた。 もちろん…

藻谷浩介「丸一日・中心市街地活性化塾」(4)

今日は藻谷さんのセミナーのまとめとしよう。 「第3部 地価低下時代のまちづくりと、その担い手」では群馬県館林、富山市岩瀬浜、村上、長浜、神戸新開地、旧居留地、そして大丸有、高松丸亀商店街等が紹介された。 それぞれに学ぶベき点が多い事例だし、特…

藻谷浩介「丸一日・中心市街地活性化塾」(3)

藻谷さんの講演は次の三つに分かれていた。 第1部 衰退は景気のせいではない 第2部 デフレを活かした活性化の原因療法 第3部 地価低下時代のまちづくりと、その担い手 1部、2部では昨日と一昨日に紹介したように「中心市街地とは何か」「その意味は」「…

藻谷浩介「丸一日・中心市街地活性化塾」(2)

中心市街地はなぜ必要か 今回、改めてお話しを聞いて、中心市街地とは単なる繁華街でも商業地区でもなく、人が雑居し、雑踏があり、それゆえに個人が大資本に反転攻勢できる場だという話しが印象的だった。 藻谷さんによればアメリカの中心市街地の再生例で…

藻谷浩介「丸一日・中心市街地活性化塾」(1)

10月26日の藻谷さんのセミナーのテープ起こしの整理がようやく終わった。 『デフレの正体』が今年は大ヒットしたそうだが、中心市街地活性化の辛辣な論客としても知られている。7年ほど前に本づくりの相談をしたときから、その主張はほとんど変わっていない…

水道の水、ペットボトルの水

ブログを書こうと思って整理用の日付を書いたら、101111だった。来年は111111と六つも1が並ぶことにな。 きっと何か関連づけを考える商売が出てくるだろう。 ところで、今月の環境市民のニュースレターは、「今なぜ水道水?」だった。 例によって、いかにミ…

季刊まちづくり29号、いよいよ印刷(2)

都市計画の近未来 さて、広原さんは別のところで「(私の考え方は)従来のハコモノ中心の都市計画論、都市開発論とは全く違います。むしろ社会学に近いまちづくり論かも知れません。でも、これが本当の京都のまちづくり論なのです」(注1)と言われている。…

季刊まちづくり29号、いよいよ印刷(1)

季刊まちづくり29号も、いよいよ印刷だ。 校正段階だが、集まった原稿を読ませて頂いた。そのなかから巻頭対談を紹介したい。 広原盛明×西村幸夫対談 広原盛明さんって、誰? 最初に聞いたとき、う〜ん、いまさら広原さんかと言ってしまった。 だが、ますま…

稲葉佳子「多様性を体現するまち・新宿大久保」(2)

昨日は大久保の多様性を語ったが、今日は日本の街の衰退と多様性の喪失を絡めて考えてみよう。 都合のよい多様性だけを考えるのは間違い 稲葉さんは、都市論でも多様性が注目されているが、それは理想的な多様性(というか、都合の良い多様性)に過ぎないの…

稲葉佳子「多様性を体現するまち・新宿大久保」(1)

多様性を包容する街オオクボ これは『オオクボ 都市の力』を書かれた稲葉佳子さんが多様性を特集した『世界思想』(2010年春号、世界思想社)に寄せられた論文だ。 まず大久保は一丁目の町会長が「国勢調査で回った印象では6割は外国人」と言うように、多文…

林まゆみ「生物多様性とまちづくり」セミナー

生物多様性条約第10回締約国会議開幕 先日、生物多様性条約第10回締約国会議が名古屋で開幕した。地球益と国益をめぐりシビアな交渉が始まった。 国内で開かれる大型の国際会議と言うこともあり、これまで各界で盛んな啓発活動が行われた。 僕たちも今年…

京町家証券化プロジェクト終了

京町家証券化特定目的会社から監査報告書が届き、2010年8月に特定目的会社が無事、解散したこと、残余財産の分配を行うので、その承認のための臨時社員総会を開くと知らせてきた。 京町家の証券化とは、京町家の保全のための資金を証券化により集めようとい…

『都市計画の新たな挑戦』いよいよ組み版(3)

昨日までに紹介した佐藤滋さんの論を僕なりに考えてみたい。 エネルギッシュ!、情熱が溢れる文章 以上、佐藤さんの主張をざっくり要約させていただいたが、エネルギッシュで情熱溢れる文書を伝えることはできない。また中味はじっくり全文を読んでいただき…

『都市計画の新たな挑戦』いよいよ組み版(2)

昨日に続いて佐藤滋さんの力作を紹介しよう。 4 地域協働社会を築く「まちづくり市民事業」 第4節では佐藤さんは次のように主張している。 まちづくりをこれから実際に動かしていくのは、まちづくり市民事業だ。 市民事業が「地域社会に立脚した市民と専門…

『都市計画の新たな挑戦』いよいよ組み版(1)

「地域協働時代の都市計画」 5月14日に紹介した蓑原敬編著『都市計画の新たな挑戦』の組み版が始まった。編集やレイアウトを担当するスタッフも決まり、いよいよ校正作りだ。 今日は、その中でも力作の一つ、佐藤滋さんの「地域協働時代の都市計画」を紹…

高島市新旭町針江まち歩き(3)

湖畔 有機栽培の取り組み 再び公民館に集合し、車に分乗して湖畔に向かう。 今度のガイドさんは女性の前田さんだ。 車窓から見える田んぼを指さして、あれは無農薬、こちらは農薬半減と説明してくださった。 生き物の「ゆりかご水田」といって、今年はにごろ…

高島市新旭町針江まち歩き(2)

川端づくし お寺の川端 これはお家(お寺)の中にある川端。お家のなかにあるので内川端という(逆に、外にあるのは外川端という)。 正伝寺といって、曹洞宗 永平寺直末 近江三ヶ寺ノ一つだそうで、今でも地元の人々に親しまれているという。 亀池 お寺にあ…

高島市新旭町針江まち歩き(1)

京都府建築士会青年部が針江生水の郷の見学会をやっていたので、連れと一緒に遊びに行った。 針江は写真家・今森光彦さんがによる映像詩、NHKハイビジョンスペシャル『里山・命めぐる水辺』の舞台になった美しい景色と生命の輝きに満ちた村だ。徹底したガ…

『都市計画の新たな挑戦』いよいよ脱稿(2)

これからの都市計画の望ましいあり方 昨日紹介した、六つの疑問を踏まえ、西村さんは次の都市計画のあるべき姿を素描されている。 (1)地域の魅力をつくり出す都市農村計画へ 最低限の基準という建築基準法のくびきを脱し、「都市と周辺農村の調和、地区環…

『都市計画の新たな挑戦』いよいよ脱稿(西村幸夫編1)

『都市計画の新たな挑戦』 5月14日に紹介した蓑原敬編著『都市計画の新たな挑戦』の西村幸夫さんの原稿が届いた。 これで原稿が揃った。いよいよ初校づくりだ。 この本の狙いについては編者の蓑原敬さんがインタビュー「『都市計画の新たな挑戦』を語る」…

学芸セミナー「広域計画と地域の持続可能性」(3)

最後に福島さんの報告を紹介しよう。 広域計画と地域ツーリズムの振興(福島さんの報告) 観光の場合は、広域で取り組むことの意義は明確だ。福島さんが指摘したように、観光客も、そのニーズに応える旅行業者も行政の境界なんて意識しないからだ。 だから観…

学芸セミナー「広域計画と地域の持続可能性」(2)

昨日に引き続き戸田さんの報告を紹介しよう。 県境を越えた連携(戸田さんの報告) 紹介された三遠南信地域は、愛知、静岡、長野にまたがる地域で、豊橋、浜松、飯田が代表的な都市だ。 豊橋と浜松は隣同士だと知っていたが、飯田とも塩の道で結ばれており、…

学芸セミナー「広域計画と地域の持続可能性」(1)

1ヶ月ほど前ですが、8月27日、標記のセミナーを行いました。 参加者は16名と少なかったのですが、内容的には濃かったと思います。 瀬田史彦、戸田敏行、福島茂さんには、遠方から手弁当でお越しいただき、感謝です。 また、参加者の皆様にも感謝します…

『人口減少時代における土地利用計画―都市周辺部の持続可能性を探る』(3)

引き続き『人口減少時代における土地利用計画』から幾つかの章を紹介しよう。 「四日市〜市民と行政が合意した計画による都市周辺部の土地利用調整」(浦山益郎、稲垣圭二) 四日市市は都市周辺部に1)大規模な開発許可済みの、しかしまだ開発が行われていな…

『人口減少時代における土地利用計画―都市周辺部の持続可能性を探る』(2)

ここからは『人口減少時代における土地利用計画』から幾つかの章を紹介しよう。 「青森市からコンパクティティのこれまでとこれから」(海道清信) まず海道さんの青森のコンパクティの考察を紹介しよう。 ここでは、戦略を振り返りながら、推進派市長の敗因…

『人口減少時代における土地利用計画―都市周辺部の持続可能性を探る』(1)

都市の縮退と都市計画 最近、この話題ばかり書いているような気がするが、人口が減少し、都市が縮退し、過疎地では集落の消滅が危惧されている今、従来の都市の成長を制御することに主眼をおいた都市計画が大きく変わらなければならないことは明らかだろう。…

疋田智『快適自転車ライフ』

疋田智さんの『快適自転車ライフ』(岩波アクティブ文庫)を読んだ。 初版は8年前の2002年。『自転車通勤で行こう』(1999年)から3年目に書かれた比較的古い本だ。 内容は、まず「第1章 ママチャリに乗って冒険に出かけよう」で自転車が意外と遠くまで簡…

特報・古池嘉和さんの観光振興論〜その2〜

長浜 これらに対して、古池さんが厳しい目で見るのは長浜だ。 長浜の成功は疑いえない。しかしそれはテーマパークとしての成功ではないかと指摘する。なぜなら黒壁スクエアの周辺に同種の店舗を誘致することで、スクエアの内部と外部を切り分け、空間を洗練…

特報・古池嘉和さんの観光振興論〜その1〜

『観光学への扉』で「9章 脱開発の時代と持続可能なコミュニティ」「10章 協働・連携としての観光」等を担当いただいた古池嘉和さんの新しい原稿を読んだ。 もうすぐだ。 この本で言いたいことは決まっている。 地域経済において観光が果たすべき意義と役割…